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InnoDB
は、自動的に各セカンダリインデックスに主キーカラムを追加して、それを拡張します。 このテーブル定義について考えます。
CREATE TABLE t1 (
i1 INT NOT NULL DEFAULT 0,
i2 INT NOT NULL DEFAULT 0,
d DATE DEFAULT NULL,
PRIMARY KEY (i1, i2),
INDEX k_d (d)
) ENGINE = InnoDB;
このテーブルでは、カラム (i1, i2)
に主キーを定義しています。 さらに、カラム (d)
にセカンダリインデックス k_d
を定義していますが、内部で InnoDB
はこのインデックスを拡張し、それをカラム (d, i1, i2)
として処理します。
オプティマイザは、拡張セカンダリインデックスの主キーカラムを考慮して、そのインデックスを使用する方法と使用するかどうかを決定します。 これにより、クエリー実行計画の効率が向上し、パフォーマンスが向上する可能性があります。
オプティマイザは、ref
、range
および index_merge
のインデックスアクセス、ルーズインデックススキャンアクセス、結合およびソートの最適化、MIN()
/MAX()
の最適化に拡張セカンダリインデックスを使用できます。
次の例に、オプティマイザが拡張セカンダリインデックスを使用するかどうかによって、実行プランにどのような影響を与えるか示します。 これらの行に t1
が移入されているとします。
INSERT INTO t1 VALUES
(1, 1, '1998-01-01'), (1, 2, '1999-01-01'),
(1, 3, '2000-01-01'), (1, 4, '2001-01-01'),
(1, 5, '2002-01-01'), (2, 1, '1998-01-01'),
(2, 2, '1999-01-01'), (2, 3, '2000-01-01'),
(2, 4, '2001-01-01'), (2, 5, '2002-01-01'),
(3, 1, '1998-01-01'), (3, 2, '1999-01-01'),
(3, 3, '2000-01-01'), (3, 4, '2001-01-01'),
(3, 5, '2002-01-01'), (4, 1, '1998-01-01'),
(4, 2, '1999-01-01'), (4, 3, '2000-01-01'),
(4, 4, '2001-01-01'), (4, 5, '2002-01-01'),
(5, 1, '1998-01-01'), (5, 2, '1999-01-01'),
(5, 3, '2000-01-01'), (5, 4, '2001-01-01'),
(5, 5, '2002-01-01');
ここで次のクエリーを考慮します。
EXPLAIN SELECT COUNT(*) FROM t1 WHERE i1 = 3 AND d = '2000-01-01'
実行計画は、拡張インデックスが使用されているかどうかによって異なります。
オプティマイザがインデックス拡張を考慮しない場合、それはインデックス k_d
を (d)
のみとして扱います。 クエリーの EXPLAIN
では次の結果が生成されます。
mysql> EXPLAIN SELECT COUNT(*) FROM t1 WHERE i1 = 3 AND d = '2000-01-01'\G
*************************** 1. row ***************************
id: 1
select_type: SIMPLE
table: t1
type: ref
possible_keys: PRIMARY,k_d
key: k_d
key_len: 4
ref: const
rows: 5
Extra: Using where; Using index
オプティマイザがインデックス拡張を考慮する場合、それはインデックス k_d
を (d, i1, i2)
として扱います。 この場合、それは左端のインデックスプリフィクス (d, i1)
を使用して、より適切な実行プランを生成できます。
mysql> EXPLAIN SELECT COUNT(*) FROM t1 WHERE i1 = 3 AND d = '2000-01-01'\G
*************************** 1. row ***************************
id: 1
select_type: SIMPLE
table: t1
type: ref
possible_keys: PRIMARY,k_d
key: k_d
key_len: 8
ref: const,const
rows: 1
Extra: Using index
どちらの場合も、key
はオプティマイザがセカンダリインデックス k_d
を使用することを示しますが、EXPLAIN
出力には拡張インデックスの使用による次の改善点が示されています:
key_len
は 4 バイトから 8 バイトになり、キールックアップでカラムd
だけでなく、d
とi1
も使用されていることを示しています。キールックアップで 1 つではなく 2 つのキーパートが使用されるため、
ref
値がconst
からconst,const
に変更されています。rows
数は 5 から 1 に減少し、InnoDB
が結果を生成するために調査する必要がある行数が少なくなることを示しています。Extra
値がUsing where; Using index
からUsing index
に変更されています。 このことは、データ行のカラムを参照せずに、インデックスのみを使用して、行を読み取れることを意味します。
拡張インデックスの使用のオプティマイザの動作の違いは、SHOW STATUS
でも確認できます。
FLUSH TABLE t1;
FLUSH STATUS;
SELECT COUNT(*) FROM t1 WHERE i1 = 3 AND d = '2000-01-01';
SHOW STATUS LIKE 'handler_read%'
前述のステートメントには、テーブルキャッシュをフラッシュしてステータスカウンタをクリアする FLUSH TABLES
および FLUSH STATUS
が含まれています。
インデックス拡張を使用しないと、SHOW STATUS
は次の結果を生成します。
+-----------------------+-------+
| Variable_name | Value |
+-----------------------+-------+
| Handler_read_first | 0 |
| Handler_read_key | 1 |
| Handler_read_last | 0 |
| Handler_read_next | 5 |
| Handler_read_prev | 0 |
| Handler_read_rnd | 0 |
| Handler_read_rnd_next | 0 |
+-----------------------+-------+
インデックス拡張を使用すると、SHOW STATUS
は次の結果を生成します。 Handler_read_next
値が 5 から 1 に減少し、インデックスをより効率的に使用していることを示しています。
+-----------------------+-------+
| Variable_name | Value |
+-----------------------+-------+
| Handler_read_first | 0 |
| Handler_read_key | 1 |
| Handler_read_last | 0 |
| Handler_read_next | 1 |
| Handler_read_prev | 0 |
| Handler_read_rnd | 0 |
| Handler_read_rnd_next | 0 |
+-----------------------+-------+
optimizer_switch
システム変数の use_index_extensions
フラグを使用すると、InnoDB
テーブルのセカンダリ索引の使用方法を決定するときにオプティマイザが主キーカラムを考慮するかどうかを制御できます。 デフォルトで、use_index_extensions
は有効です。 インデックス拡張機能の使用を無効にするとパフォーマンスが向上するかどうかを確認するには、次のステートメントを使用します:
SET optimizer_switch = 'use_index_extensions=off';
オプティマイザによるインデックス拡張の使用は、インデックス (16) のキーパートの数と最大キー長 (3072 バイト) への通常の制限によります。