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UPDATE
は、テーブルの行を変更する DML ステートメントです。
UPDATE
ステートメントは、WITH
句で始まり、UPDATE
内でアクセス可能な共通テーブル式を定義できます。 セクション13.2.15「WITH (共通テーブル式)」を参照してください。
単一テーブル構文:
UPDATE [LOW_PRIORITY] [IGNORE] table_reference
SET assignment_list
[WHERE where_condition]
[ORDER BY ...]
[LIMIT row_count]
value:
{expr | DEFAULT}
assignment:
col_name = value
assignment_list:
assignment [, assignment] ...
複数テーブル構文:
UPDATE [LOW_PRIORITY] [IGNORE] table_references
SET assignment_list
[WHERE where_condition]
単一テーブル構文の場合、UPDATE
ステートメントは、指定されたテーブル内の既存の行のカラムを新しい値に更新します。 SET
句は、変更するカラムと、それらのカラムに指定される値を示します。 各値は式か、またはカラムを明示的にそのデフォルト値に設定するキーワード DEFAULT
として指定できます。 WHERE
句 (指定されている場合) は、どの行を更新するかを識別する条件を指定します。 WHERE
句がない場合は、すべての行が更新されます。 ORDER BY
句が指定されている場合は、指定されている順序で行が更新されます。 LIMIT
句は、更新できる行数に制限を設定します。
複数テーブル構文の場合、UPDATE
は、条件を満たす table_references
で指定されている各テーブル内の行を更新します。 一致した各行は、条件に複数回一致した場合でも、1 回更新されます。 複数テーブル構文の場合は、ORDER BY
および LIMIT
を使用できません。
パーティション化されたテーブルの場合は、このステートメントの単一テーブルと複数テーブルの両方の形式で、テーブル参照の一部としての PARTITION
オプションの使用がサポートされます。 このオプションは、1 つ以上のパーティションまたはサブパーティション (またはその両方) のリストを受け取ります。 リストされているパーティション (またはサブパーティション) だけが一致をチェックされ、これらのパーティションまたはサブパーティションのいずれにも存在しない行は、where_condition
を満たすかどうかにかかわらず更新されません。
INSERT
または REPLACE
ステートメントで PARTITION
を使用している場合とは異なり、それ以外は有効な UPDATE ... PARTITION
ステートメントは、リストされているパーティション (またはサブパーティション) 内のどの行も where_condition
に一致しない場合でも成功したと見なされます。
詳細および例については、セクション24.5「パーティション選択」を参照してください。
where_condition
は、更新される各行に対して true に評価される式です。 式の構文については、セクション9.5「式」を参照してください。
table_references
と where_condition
は、セクション13.2.10「SELECT ステートメント」で説明されているように指定されます。
実際に更新された、UPDATE
内で参照されているカラムに対してのみ UPDATE
権限が必要です。 読み取られるが、変更されないカラムに対しては、SELECT
権限のみが必要です。
UPDATE
ステートメントは、次の修飾子をサポートします。
-
LOW_PRIORITY
修飾子を使用すると、ほかのクライアントがテーブルから読み取ることがなくなるまで、UPDATE
の実行が遅延されます。 これは、テーブルレベルロックのみを使用するストレージエンジン (MyISAM
、MEMORY
、およびMERGE
) にのみ影響を与えます。 -
IGNORE
修飾子を使用すると、更新中にエラーが発生しても更新ステートメントは中断されません。 一意のキー値に関して重複キーの競合が発生した行は更新されません。 データ変換エラーの原因になる値に更新された行は、代わりに、もっとも近い有効な値に更新されます。 詳細は、IGNORE がステートメントの実行に与える影響を参照してください。
ORDER BY
句を持つステートメントを含む UPDATE IGNORE
ステートメントには、ステートメントベースのレプリケーションに対して安全でないというフラグが付けられます。 (これは、どの行が無視されるかが、行が更新される順序によって決定されるためです。) このようなステートメントは、ステートメントベースのモードの使用時にエラーログに警告を生成し、MIXED
モードの使用時に行ベースの形式を使用してバイナリログに書き込まれます。 (Bug #11758262、Bug #50439) 詳細は、セクション17.2.1.3「バイナリロギングでの安全および安全でないステートメントの判断」を参照してください。
式で更新されるテーブルのカラムにアクセスする場合、UPDATE
はそのカラムの現在の値を使用します。 たとえば、次のステートメントは、col1
をその現在の値より 1 大きい値に設定します。
UPDATE t1 SET col1 = col1 + 1;
次のステートメントの 2 番目の割り当ては、col2
を元の col1
値ではなく、現在の (更新された) col1
値に設定します。 この結果、col1
と col2
の値が同じになります。 この動作は標準 SQL とは異なります。
UPDATE t1 SET col1 = col1 + 1, col2 = col1;
単一テーブルの UPDATE
の割り当ては一般に、左から右に評価されます。 複数テーブルの更新では、割り当てが特定の順序で実行される保証はありません。
カラムをその現在の値に設定した場合は、MySQL がこれに気付き、その更新を行いません。
NOT NULL
として宣言されているカラムを NULL
に設定することによって更新すると、厳密な SQL モードが有効になっている場合は、エラーが発生します。そうでない場合、カラムはそのカラムデータ型の暗黙のデフォルト値に設定され、警告数が 1 増やされます。 暗黙のデフォルト値は、数値型では 0
、文字列型では空の文字列 (''
)、および日付と時間型では「0」の値です。 セクション11.6「データ型デフォルト値」を参照してください。
生成されたカラムが明示的に更新される場合、許可される値は DEFAULT
のみです。 生成されるカラムの詳細は、セクション13.1.20.8「CREATE TABLE および生成されるカラム」 を参照してください。
UPDATE
は、実際に変更された行数を返します。 mysql_info()
C API 関数は、一致して更新された行数と、UPDATE
中に発生した警告の数を返します。
LIMIT
を使用すると、row_count
UPDATE
のスコープを制限できます。 LIMIT
句は、一致した行の制限です。 このステートメントは、実際に変更されたかどうかにかかわらず、WHERE
句を満たす row_count
行を見つけるとすぐに停止します。
UPDATE
ステートメントに ORDER BY
句が含まれている場合は、この句で指定されている順序で行が更新されます。 これは、通常であればエラーが発生する可能性のある特定の状況で役立つ場合があります。 テーブル t
に、一意のインデックスを持つカラム id
が含まれているとします。 次のステートメントは、行が更新される順序によっては、重複キーエラーで失敗する可能性があります。
UPDATE t SET id = id + 1;
たとえば、このテーブルの id
カラムに 1 と 2 が含まれており、2 が 3 に更新される前に 1 が 2 に更新された場合は、エラーが発生します。 この問題を回避するには、大きな id
値を持つ行が小さな値を持つ行の前に更新されるように、ORDER BY
句を追加します。
UPDATE t SET id = id + 1 ORDER BY id DESC;
また、複数のテーブルを範囲に含む UPDATE
操作を実行することもできます。 ただし、複数テーブルの UPDATE
では ORDER BY
または LIMIT
を使用できません。 table_references
句は、結合に含まれるテーブルをリストします。 その構文については、セクション13.2.10.2「JOIN 句」で説明されています。 次に例を示します。
UPDATE items,month SET items.price=month.price
WHERE items.id=month.id;
前の例は、カンマ演算子を使用する内部結合を示していますが、複数テーブルの UPDATE
ステートメントは、SELECT
ステートメント内で許可されている任意の型の結合 (LEFT JOIN
など) を使用できます。
外部キー制約が存在する InnoDB
テーブルを含む、複数テーブルの UPDATE
ステートメントを使用した場合は、MySQL オプティマイザが、それらの親子関係の順序とは異なる順序でテーブルを処理する可能性があります。 この場合、このステートメントは失敗し、ロールバックされます。 代わりに、1 つのテーブルを更新したあと、InnoDB
が提供する ON UPDATE
機能を使用して、ほかのテーブルがそれに応じて変更されるようにします。 セクション13.1.20.5「FOREIGN KEY の制約」を参照してください。
テーブルを更新してサブクエリーの同じテーブルから直接選択することはできません。 これを回避するには、複数テーブルの更新を使用します。この更新では、いずれかのテーブルが実際に更新するテーブルから導出され、エイリアスを使用して導出テーブルを参照します。 次に示すステートメントを使用して定義された items
という名前のテーブルを更新するとします:
CREATE TABLE items (
id BIGINT NOT NULL AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
wholesale DECIMAL(6,2) NOT NULL DEFAULT 0.00,
retail DECIMAL(6,2) NOT NULL DEFAULT 0.00,
quantity BIGINT NOT NULL DEFAULT 0
);
値入れが 30% 以上で在庫が 100 未満のアイテムの小売価格を下げるには、WHERE
句でサブクエリーを使用する次のような UPDATE
ステートメントを使用します。 次に示すように、このステートメントは機能しません:
mysql> UPDATE items
> SET retail = retail * 0.9
> WHERE id IN
> (SELECT id FROM items
> WHERE retail / wholesale >= 1.3 AND quantity > 100);
ERROR 1093 (HY000): You can't specify target table 'items' for update in FROM clause
かわりに、次のように、最も外側の WHERE
句でエイリアスを使用して参照し、サブクエリーを更新対象のテーブルのリストに移動する複数テーブル更新を使用できます:
UPDATE items,
(SELECT id FROM items
WHERE id IN
(SELECT id FROM items
WHERE retail / wholesale >= 1.3 AND quantity < 100))
AS discounted
SET items.retail = items.retail * 0.9
WHERE items.id = discounted.id;
オプティマイザはデフォルトで導出テーブル discounted
を最も外側のクエリーブロックにマージしようとするため、導出テーブルを強制的に実体化する場合にのみ機能します。 これを行うには、更新を実行する前に optimizer_switch
システム変数の derived_merge
フラグを off
に設定するか、次のように NO_MERGE
オプティマイザヒントを使用します:
UPDATE /*+ NO_MERGE(discounted) */ items,
(SELECT id FROM items
WHERE retail / wholesale >= 1.3 AND quantity < 100)
AS discounted
SET items.retail = items.retail * 0.9
WHERE items.id = discounted.id;
このような場合にオプティマイザヒントを使用する利点は、オプティマイザヒントが使用されるクエリーブロック内でのみ適用されるため、UPDATE
の実行後に optimizer_switch
の値を再度変更する必要がないことです。
次のように、IN
または EXISTS
を使用しないようにサブクエリーをリライトすることもできます:
UPDATE items,
(SELECT id, retail / wholesale AS markup, quantity FROM items)
AS discounted
SET items.retail = items.retail * 0.9
WHERE discounted.markup >= 1.3
AND discounted.quantity < 100
AND items.id = discounted.id;
この場合、サブクエリーはマージではなくデフォルトで実体化されるため、導出テーブルのマージを無効にする必要はありません。