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MySQL 5.6 リファレンスマニュアル
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6.3.9 プロキシユーザー

認証プラグインを使用した MySQL サーバーへの認証が発生すると、接続中の (外部) ユーザーを権限チェックのために別のユーザーとして処理するようにプラグインから要求されることがあります。これにより、外部ユーザーを 2 番目のユーザーのプロキシにすることができます。つまり、2 番目のユーザーの権限を持つことができます。言い換えると、外部ユーザーはプロキシユーザー (偽装できるユーザーまたは別のユーザーと呼ばれるようになるユーザー) であり、2 番目のユーザーはプロキシ対象ユーザー (プロキシユーザーが実行できるアイデンティティーを持つユーザー) です。

このセクションでは、プロキシユーザー機能の動作について説明します。認証プラグインに関する一般的な情報については、セクション6.3.7「プラガブル認証」を参照してください。プロキシユーザーがサポートされている独自の認証プラグインを作成することに関心がある場合は、セクション24.2.4.9.4「認証プラグインでのプロキシユーザーサポートの実装」を参照してください。

プロキシ処理を発生させるには、次の条件を満たす必要があります。

  • 接続中のクライアントがプロキシユーザーとして処理されるときに、プラグインはプロキシ対象ユーザーの名前を示すために、別の名前を返す必要があります。

  • プロキシユーザーのアカウントがプラグインで認証されるように設定する必要があります。CREATE USER または GRANT ステートメントを使用して、アカウントをプラグインに関連付けます。

  • プロキシユーザーのアカウントは、プロキシ対象アカウントの PROXY 権限を持つ必要があります。これを行うには、GRANT ステートメントを使用します。

次のような定義について検討します。

CREATE USER 'empl_external'@'localhost'
  IDENTIFIED WITH auth_plugin AS 'auth_string';
CREATE USER 'employee'@'localhost'
  IDENTIFIED BY 'employee_pass';
GRANT PROXY
  ON 'employee'@'localhost'
  TO 'empl_external'@'localhost';

クライアントがローカルホストから empl_external として接続すると、MySQL は auth_plugin を使用して認証を実行します。auth_plugin が ('auth_string' の内容に基づいて、おそらく一部の外部認証システムを参照することで) サーバーに employee というユーザー名を返す場合は、このクライアントを権限チェックのために、employee ローカルユーザーとして処理するように求めるサーバーへのリクエストとして機能します。

この場合、empl_external はプロキシユーザー、employee はプロキシ対象ユーザーです。

サーバーは empl_externalemployee に対する PROXY 権限を持っているかどうかをチェックすることで、empl_external ユーザーに対して employee のプロキシ認証を実行できることを確認します。(この権限が付与されていない場合は、エラーが発生します。)

プロキシ処理が発生したときに、USER() および CURRENT_USER() 関数を使用すると、接続中のユーザーと現在のセッション中に権限が適用されるアカウントとの相違点を確認できます。先ほど説明した例では、これらの関数は次の値を返します。

mysql> SELECT USER(), CURRENT_USER();
+-------------------------+--------------------+
| USER()                  | CURRENT_USER()     |
+-------------------------+--------------------+
| empl_external@localhost | employee@localhost |
+-------------------------+--------------------+

認証プラグインの名前を指定する IDENTIFIED WITH 句のあとに、ユーザーの接続時にサーバーがプラグインに渡す文字列を指定する AS 句が続く場合があります。AS 句が必要であるかどうかは、各プラグインに依存します。必要な場合、認証文字列の形式は、プラグインを使用する目的によって異なります。許可される認証文字列の値については、特定のプラグインに関するドキュメントを参照してください。

プロキシ権限の付与

外部ユーザーが別のユーザーとして接続し、その権限を持つことができるようにするには、特別な PROXY 権限が必要です。この権限を付与するには、GRANT ステートメントを使用します。例:

GRANT PROXY ON 'proxied_user' TO 'proxy_user';

proxy_user は、接続時に外部で認証された有効な MySQL ユーザーを表している必要があります。そうでない場合は、接続の試行に失敗します。proxied_user は、接続時にローカルで認証された有効なユーザーを表している必要があります。そうでない場合は、接続の試行に失敗します。

対応する REVOKE 構文は次のとおりです。

REVOKE PROXY ON 'proxied_user' FROM 'proxy_user';

MySQL GRANT および REVOKE 構文の拡張機能は、通常どおりに動作します。例:

GRANT PROXY ON 'a' TO 'b', 'c', 'd';
GRANT PROXY ON 'a' TO 'd' IDENTIFIED BY ...;
GRANT PROXY ON 'a' TO 'd' WITH GRANT OPTION;
GRANT PROXY ON 'a' TO ''@'';
REVOKE PROXY ON 'a' FROM 'b', 'c', 'd';

前述の例では、''@'' はデフォルトのプロキシユーザーであり、任意のユーザーを意味します。デフォルトのプロキシユーザーについては、このセクションの後半で説明します。

次のような場合に、PROXY 権限を付与できます。

  • 自分で proxied_user による: アカウント名のユーザー名とホスト名の両方の部分で、USER() の値が CURRENT_USER() および proxied_user と完全に一致する必要があります。

  • proxied_user に対する GRANT PROXY ... WITH GRANT OPTION を持つユーザーによる。

MySQL のインストール時にデフォルトで作成された root アカウントは、''@'' (つまり、すべてのユーザー) に対する PROXY ... WITH GRANT OPTION 権限を持っています。これにより、root はプロキシユーザーを設定したり、プロキシユーザーを設定するための権限をほかのアカウントに委任したりできます。たとえば、root は次の操作を実行できます。

CREATE USER 'admin'@'localhost' IDENTIFIED BY 'test';
GRANT PROXY ON ''@'' TO 'admin'@'localhost' WITH GRANT OPTION;

この時点で、admin ユーザーは特定のすべての GRANT PROXY マッピングを管理できます。たとえば、admin は次の操作を実行できます。

GRANT PROXY ON sally TO joe;

デフォルトのプロキシユーザー

一部またはすべてのユーザーが特定の外部プラグインを使用して接続するように指定するには、空白の MySQL ユーザーを作成し、そのプラグインを使用して認証するように設定し、(空白のユーザーとは異なる場合に) プラグインが認証された実際のユーザー名を返すことができるようにします。たとえば、LDAP 認証を実装する ldap_auth という名前の仮のプラグインが存在すると仮定します。

CREATE USER ''@'' IDENTIFIED WITH ldap_auth AS 'O=Oracle, OU=MySQL';
CREATE USER 'developer'@'localhost' IDENTIFIED BY 'developer_pass';
CREATE USER 'manager'@'localhost' IDENTIFIED BY 'manager_pass';
GRANT PROXY ON 'manager'@'localhost' TO ''@'';
GRANT PROXY ON 'developer'@'localhost' TO ''@'';

ここで、クライアントが次のように接続を試みるとします。

mysql --user=myuser --password='myuser_pass' ...

サーバーでは、MySQL ユーザーとして定義された myuser が見つかりません。ただし、クライアントのユーザー名およびホスト名と一致する空白のユーザーアカウント (''@'') があるため、サーバーはそのアカウントと照合してクライアントを認証します。サーバーは ldap_auth を呼び出して、それをユーザー名とパスワードとして myuser および myuser_pass に渡します。

ldap_auth プラグインによって、myuser_passmyuser の正しいパスワードでないことが LDAP ディレクトリで検出された場合は、認証に失敗し、サーバーは接続を拒否します。

パスワードが正しく、ldap_auth によって myuser が開発者であることが検出された場合は、MySQL サーバーに myuser ではなく、developer というユーザー名が返されます。サーバーは、(実行するための PROXY 権限を持っているため) ''@''developer として認証できることを確認し、接続を受け入れます。セッションは、developer の権限を持っている myuser で続行されます。(これらの権限は、DBA が GRANT ステートメントを使用して設定するべきですが、表示されません。)USER() および CURRENT_USER() 関数は、次の値を返します。

mysql> SELECT USER(), CURRENT_USER();
+------------------+---------------------+
| USER()           | CURRENT_USER()      |
+------------------+---------------------+
| myuser@localhost | developer@localhost |
+------------------+---------------------+

代わりに、プラグインによって myuser がマネージャーであることが LDAP ディレクトリで検出された場合は、ユーザー名として manager が返され、セッションは manager の権限を持つ myuser で続行されます。

mysql> SELECT USER(), CURRENT_USER();
+------------------+-------------------+
| USER()           | CURRENT_USER()    |
+------------------+-------------------+
| myuser@localhost | manager@localhost |
+------------------+-------------------+

単純にするために、外部認証はマルチレベルで実行できません。前述の例では、developer の証明書も、manager の証明書も考慮されません。ただし、クライアントが developer または manager アカウントと照合して直接認証を試みる場合は、引き続き使用されます (そのため、これらのアカウントにはパスワードを割り当てられるはずです)。

デフォルトのプロキシアカウントは、任意のホストと一致する '' をホスト部分で使用します。デフォルトのプロキシユーザーを設定する場合は、ホスト部分で '%' を含むアカウントもチェックするように注意してください。その理由は、これらのアカウントは任意のホストにも一致しますが、サーバー内部でアカウント行をソートする際に使用されるルールによって、'' よりも優先されるためです (セクション6.2.4「アクセス制御、ステージ 1: 接続の検証」を参照してください)。

MySQL のインストールに、次の 2 つのアカウントが含まれていると仮定します。

CREATE USER ''@'' IDENTIFIED WITH some_plugin;
CREATE USER ''@'%' IDENTIFIED BY 'some_password';

1 番目のアカウントの目的は、それ以外の場合は、より具体的なアカウントと一致しないユーザーの接続を認証する際に使用されるデフォルトのプロキシユーザーとして機能することです。2 番目のアカウントは、たとえば、匿名ユーザーとして独自のアカウントを持っていないユーザーを有効にするために、作成されることがあります。

ただし、この構成では、一致のルールによって ''@'' よりも先に ''@'%' がソートされるため、1 番目のアカウントは使用されません。より具体的などのアカウントにも一致しないアカウントの場合、サーバーは ''@'' ではなく、''@'%' と照合して認証を試みます。

デフォルトのプロキシユーザーを作成する場合は、デフォルトのプロキシユーザーよりも優先されるために、そのユーザーが目的どおりに動作することを妨げるその他の既存の任意のユーザーに一致するアカウントがないかどうかチェックします。このようなアカウントをすべて削除する必要がある場合もあります。

プロキシユーザーのシステム変数

次の 2 つのシステム変数は、プロキシのログインプロセスをトレースする際に役立ちます。

  • proxy_user: プロキシ処理が使用されていない場合、この値は NULL です。それ以外の場合は、プロキシユーザーのアカウントを示します。たとえば、クライアントがデフォルトのプロキシアカウントを使用して認証する場合、この変数は次のように設定されます。

    mysql> SELECT @@proxy_user;
    +--------------+
    | @@proxy_user |
    +--------------+
    | ''@''        |
    +--------------+
  • external_user: 認証プラグインは外部ユーザーを使用して、MySQL サーバーへの認証を行うことがあります。たとえば、Windows のネイティブ認証を使用するときは、Windows の API を使用して認証するプラグインに、ログイン ID を渡す必要がありません。ただし、認証には引き続き Windows ユーザー ID が使用されます。このプラグインは、読み取り専用のセッション変数 external_user を使用して、この外部ユーザー ID (または最初の 512 UTF-8 バイト) をサーバーに返すことがあります。プラグインがこの変数を設定しない場合、その値は NULL です。


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